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にいにい蝉 本井 英
にいにい蟬抑揚なきが疎ましや 本井 英
俳誌「夏潮」
2016.10月発行(通巻111号)より
にいにい蝉は、確かにみんみん蝉やつくつく法師と違い、じーじーと抑揚なく鳴く。それが却って疎ましいというのは面白い。
人の生活にも同じようなことが言える。毎日毎日が同じ調子で過ぎていくと、かえって気分が落ち着かなくなることがある。泣いたり怒ったりする日常は煩わしいが、退屈しない。
掲句の前に次の句が置かれている。
山梔子の実の真緑のよそよそし 英
普段、側にいて何かと世話をやかれると煩わしいが、相手にされないと物足りなく不満が生まれる。
人間はなんとも不思議な生き物だ。
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